2015/11/19

Domaneのジオメトリ

フレームの個性というのは、マテリアルとジオメトリ、構造などで特徴づけられる、はずだ。
ほとんどのフレームでジオメトリが公開されているから、ジオメトリを理解できるようになれば、フレームの理解が進むような気がする。
そこでDomaneのジオメトリの特徴と自分のフィーリングを比べてみて、どの寸法からどんなフィーリングが得られるのか、考えてみた。
Domaneとはどういうフレームなのだろうか。

そもそもフレームのサイズはシートチューブ長で決まっている。
つまりフレームサイズ56だと、シートチューブの長さはだいたい56cm。
のはずなのだが、Domaneのサイズ56のシートチューブ長はというと52.5cm。
スローピングを水平に換算した時の、仮想点の数字が56cm、なのかもしれない。

以前に1000kmほど乗った後でDomane 4についてインプレを書いた。
そのときDomaneはダンシングしづらい、と書いた。
今、4500kmほど乗って、その印象は変わっていない。
僕はそのダンシングのしづらさは、Domaneのジオメトリから来ていると考えていた。
スローピングのせいか、あるいはベンドフォークのせいか、Domaneはサドルからハンドルまでが遠く見える。
ハンドルが遠いせいで重心移動がスムーズに出来ない、という仮説だ。

この仮説を検証すべく、ジオメトリを調べてみた。
Cannondale CAAD 12、S-Works Tarmac、Trek Madone 9を比較対象に(いずれも2015年11月19日時点)、これらとDomaneを比較する。
CAAD 12はアルミ最高峰と言われたCAAD 10の後継機。
CAAD 10は、僕がバイクを買いに行った時にたまたまサイズが無くて縁がなかったけど、サイズ56がその場にあったら買っていたモデル。
草レースでもよく使用されているようだ。
S-Works Tarmacはアスタナとティンコフ、エティックスの使っている、レース専用の最高峰モデル。
Madone 9はDomaneと同じトレックの出しているエアロバイクとしてチョイス。
早速、以下の表にジオメトリをまとめてみた。
表1: フレームジオメトリの比較
各種寸法(サイズ56) Domane CAAD 12 S-Works Tarmac Madone 9
シートチューブ長 52.5cm 58.5cm 53.0cm 53.3cm
シートチューブ角度 73.3度 73.5度 73.25度 73.3度
ヘッドチューブ長 17.5cm 15.5cm 16.0cm 17.0cm
ヘッドチューブ角度 71.9度 73.1度 73.5度 73.5度
トップチューブ長 55.4cm 56.1cm 56.5cm 56.0cm
フレームリーチ 37.7cm 39.3cm 39.5cm 38.7cm
BBドロップ 7.8cm 6.9cm@58 6.9cm 7.0cm
チェーンステー長 42.0cm 40.5cm@48 40.5cm 41.0cm
オフセット長 (Fork Rake) 4.8cm 4.5cm@48 4.4cm 4.0cm
トレイル 6.1cm 5.6cm 5.5cm 5.8cm
ホイールベース長 100.8cm 98.9cm 98.7cm 98.3cm
スタンドオーバー高さ 77.6cm 81.2cm 79.5cm 76.7cm
フレームスタック長 59.1cm 56.7cm 56.4cm 58.2cm

Domaneは他に比べてトップチューブが長く、そのせいでダンシングの際に体重移動がしづらいと思っていたが、それは間違いと言わざるを得ない。
むしろトップチューブやリーチは他のモデルよりも短い。

こうしてジオメトリを比べてみて、ダンシングのしづらさはBBハイトから来ているのではないかと思うようになった。
Domaneはその他のフレームと比べ、BBが低い。
BBが低いと、ダンシングに移行する時カラダが沈むので、重心の移動がすんなりいかない。
それとフレームスタック(BBハイトからハンドルまでの高さ)が大きく、BBドロップを考えてもDomaneはハンドルが高い。

そういえば、カンチェラーラがダンシングしてるのを見たことが無い。
推測だが、Trekとカンチェラーラは、それを重要視しなかったのではないかという気がする。
その他と比較して、大きな差がない、という意味で、思っていたよりもレーシーなジオメトリだった。

なお、先にインプレに書いた、45km/hになると加速が鈍るという印象はポンコツエンジンのせいだった。
下りだとちゃんと速度は出るし、高速域で安定しないと前に書いたが、今はそう感じていない。
70km/h出しても安定している。
単に乗り手ががビビっていただけ。