2006/12/13

Winny裁判

色々なところで取り上げられているとおり、Winny開発者金子勇氏の第一審の判決が出た。
結果は有罪。

裁判の成り行きや逮捕のいきさつ、法律に関する知識に関してフォローできていないので、正しいとか間違っているとかそんなことは言えない。
が、知っている範囲の知識と持ち前のバランス感覚からものを言わせて貰えば、今回の判決はおかしい。
例えていうならば、包丁でどこかの園児が殺されたとして、その包丁製造メーカーが罪に問われる、ということと同義だと思う。
無論、著作権侵害幇助を目的としたソフトであるならば、そしてそれが明らかであれば、その逮捕は正当化されよう。
だが彼の作ったのは単なるファイル交換ソフトだ。
そこでいかなることが行われるか、ある程度の予測はあったにせよ(なかったにせよ)、それを証明することは難しい。
Winny=著作権侵害幇助の等式は必ずしも成立しないのだ。
それが≒で成立していたとしても。
Youtubeと同じだ。
包丁の例の心はここにある。
この等号を証明することなく、有罪とした判決には疑問が残る。

それに本来の多くの主犯たちは隠れてしまったままだ。
今現在でもWinnyでは著作権侵害のファイルが行き交っている。
幇助のみが声高に罰せられ、主犯であるところのユーザーたちはお咎め無し。
どう見ても変だ。
無論、自衛隊、官公庁、警察とあらゆるところに著作権侵害をしているWinnyユーザーは居る。
これは後を絶たぬ情報漏洩事件から明らかだ。
今回の判決を正当化するには、著作権侵害の主犯である彼らも片っ端から逮捕するしかない。
でも、そんなことはできっこないし、やるわけがない。
となれば、金子氏だけを罰するのはおかしいと結論せざるを得ない。
単なる見せしめにしか見えない。

いずれにしても、もうP2Pネットワークを止めることは誰にも出来ない。
著作権などという、流通業者の既得権益だけを確保するシステムは、明らかに時代遅れになろうとしている。
だいたいからして、著者でなく出版社が、アーティストでなくレコード会社が著作権を振り回すというのが、そもそも奇異に映る。
もう著作権に替わる別の枠組みを考える時期に来ているのだ。
コピーワンスなどというユーザビリティを無視したシステムを導入したのは日本だけだ。
著作権という概念が崩れ去ろうという今、それを延命させようとすることより新たなシステムの構築を考えるほうがずっと建設的だろう。

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